FOREIGNER / Long, Long Way From Home
   LYRICS & MUSIC by M.Jones/L.Gramm/I.McDonald


1970年代中頃、フォーリナーのヴォーカリスト、ルー・グラムはブラック・シープというバンドで歌っていた。ルーはニューヨーク州のローチェスターという町の出身で、ブラック・シープはクリサリス・レコードから2枚のアルバムを発表していたとはいえ、まだローチェスターのローカル・バンドだった。2枚目のアルバムのプロモーションでキッスの前座に抜擢され、いよいよバンドも全国的に名をあげるか、というメンバーの期待と裏腹にある事件がおきる。ツアーに入って3、4日目、ブラック・シープの機材車が事故に遭い、バンドは85%の機材を失う。そのおかげでキッスとのツアーから降ろされ、バンドの活動は暗礁に乗り上げた。

その頃、スプーキー・トゥースで活躍し、ニューヨークに移住してきたイギリス人ギタリストのミック・ジョーンズがルーにアプローチしてきた。彼はブラック・シープのアルバムを聞いてルーに目をつけたのだ。そしてニューバンド結成のためにオーディションに来るよう、ルーに告げた。ローチェスターからニューヨークへはそれほどの距離ではない(ローチェスターはニューヨーク州と言ってもマンハッタンの反対側で、ナイアガラの滝の近く、カナダとの国境沿いに近い)。しかし当時のルーにとってそれは長い、長い道のりだった。彼はその時の気持ちをこの曲で表したのである。1977年、フォーリナーのデビューアルバムでこの曲は発表された。

LONG, LONG WAY FROM HOME

It was a Monday / A day like any other day
I left a small town / For the Apple in decay
It was my destiny / It's what we needed to do
They were telling me / I'm telling you
I was inside looking outside / The millions of faces / but still I'm alone

それはある月曜日のこと / 普段と変わらない当たり前の日だった
僕は小さな町を後にした / 退廃の町、ニューヨークへと
それは僕の運命だったんだ / 僕達がなさねばならぬ事だった
そう彼らは僕に言った / 君にもそう言ってるんだ
内側から外を見つめていた / 幾百万もの顔、そして顔 / それでも一人ぼっちだった

the Apple in decay というのはニューヨークの別称、BIG APPLE から来ている。腐ったりんご、それは暗に退廃したニューヨークを意味しているのだ。

Waiting, hours of waiting / Paying a penance / I was longing for home

何時間も何時間も待ち続けた / 後悔していた / もう家に帰りたいと

この曲はルーがニューヨークにやって来た時の心情を描いた曲だと言う。彼が大都会にやってきていかにショックを受けていたか、この一節からもわかる。もしかしたらフォーリナーのオーディションを受けるためにニューヨークに出てきた時、少し怖気づいたのかもしれない。


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