STYX / MR.ROBOTO
       Written by Dennis DeYoung


「Kilroy Was Here」とは第二次世界大戦で使われたフレーズだ。アメリカ軍が行く先々で使った意味不明の言葉だった。何とこのフレーズがどういった過程で、どのように広まっていったかが判明したのは戦後になってからだった・・・・。

ジェームス・キルロイは造船所で働く46歳になる非戦闘員。彼は戦争時、製造過程の軍艦の鉄板部分に打ち付けられたリヴェット(びょう)の数を確認するのが任務だった。その当時、リヴェットを打つ工員はその数で給料を支払われていたのである。キルロイは数え終わったリヴェットにチョークで印をつけていたのだが、彼が休みの時に工員がそのチョークを消してしまう。数え終わったリヴェットの数をわからないようにして給料を多くもらうためだ。

それに気付いたキルロイはリヴェットにチョークで印をつけた後、さらに鉄板に大きく「Kilroy Was Here」と書き込んでいったのである。普通ならこうしたチェック・マークは上塗りのペンキで消されるのだが、戦争が激しさを増してくるとそのような時間と余裕がなくなってきた。それで軍艦は船体中「Kilroy Was Here」と書かれたまま、戦場へと向かったのである。

軍艦に乗り込んだ軍人もこの「Kilroy Was Here」の意味がわからない。しかし何か特別な意味があると考え、アメリカ兵が出兵した場所には必ず「Kilroy Was Here」と書き込んでくるようになったのだ。それは世界中で知れ渡るようになり、ポツダム宣言の時、スターリンはこう聞いたと言う。一体キルロイとは何者だ?・・・

そしてスティクスのデニス・デヤングはこの「Kilroy Was Here」というフレーズを用いてコンセプト・アルバムを制作した。スティクスのアルバムには悪魔のメッセージが隠されているというクレームに創作で答えたのだった。カヴァーに描かれたロボットの顔は少し仏陀のイメージが混ざった東洋風のものだが、これをデザインしたのはターミネイターやジュラシックパークの恐竜をデザインしたスタン・ウィンストンである。

ストーリーの舞台は、人に代わって日本製のロボットが労働をする近未来。ロック・スター、キルロイのコンサートに検閲委員が現れ、コンサートを阻止しようとする。時の権力者、Dr.ライシャスがロックは堕落した音楽として取り締まっていたのだ。検閲委員は群集に殺され、結局キルロイが逮捕されてしまう。そのキルロイが脱獄する時を描いたのがこの曲である。キルロイがロボットの仮面をつけ脱出を試みるシーンである。

MR.ROBOTO

Domo arigato, Mr. Roboto / Mata ah-oo hima de
Domo arigato, Mr. Roboto / Himitsu wo shiri tai
You're wondering who I am / Machine or mannequin
With parts made in Japan, I am the modren man


ドウモアリガト、Mr.ロボット / また会う日まで
ドウモアリガト、Mr.ロボット / 秘密を知りたい
僕が誰だかわかるかい / 一体マシンなのかマネキンなのか
日本製のパーツで作られた僕はモードレン人間
(モードレンは電子機器を扱う企業名)

I'm not a robot without emotions / I'm not what you see
I've come to help you with your problems, so we can be free
I'm not a hero, I'm not a saviour, forget what you know
I'm just a man whose circumstances went beyond his control

僕は感情を持たないロボットじゃない / 見た目とは違うんだ
問題を解決するために来たのさ、僕らは自由になれるんだ
ヒーローなんかじゃない、救世主でもない、そんなものは忘れてくれ
何もコントロールできない状況に立たされた、ただの男さ

I am the modren man who hides behind a mask / So no one else can see my true identity
Domo arigato, Mr. Roboto, domo...domo / Thank you very much, Mr. Roboto
For doing the jobs that nobody wants to / For helping me escape just when I needed to
The problem's plain to see / Too much technology
Machines to save our lives / Machines dehumanize


マスクに隠れた僕はモードレン人間 / 誰にも僕の正体はわかりはしない
ドウモアリガト、Mr.ロボット / どうもありがとう、Mr.ロボット
誰もが嫌がる仕事を引き受けてくれて / ちょうどいい時に脱出するのを手伝ってくれて
何が問題かは明らかさ / あまりにテクノロジーが発達してしまった
機械が人間を救うなんて / 機械は人を機械化させているだけさ

The time has come at last / To throw away this mask
Now everyone can see / My true identity...
I'm Kilroy! Kilroy! Kilroy! Kilroy!


とうとう時は訪れた / この仮面を脱ぎ捨てる時が
誰もがわかるはずさ / 僕の本当の正体を
僕はキルロイ、キルロイ、キルロイ・・・・


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